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工場QC・トラブル対応におけるガス成分の「一次切り分け」手法

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工場の品質管理(QC)現場では、異常ガスが発生しても専門機関への外部委託やラボでの結果待ちの間、原因の絞り込みができずにライン停止や判断遅れが生じがちです。

現場で初期段階の成分特定を行える体制は、トラブル対応のリードタイム短縮につながります。

本ページでは、QC現場における課題や一次切り分けの意義、求められる装置条件、具体的な事例まで解説します。

工場の品質管理(QC)における異常ガス発生時の課題

異常原因の特定にともなう
タイムロス

異常ガスが検出されても、原料や工程、設備のどこに起因するかを即座に絞り込むのは容易ではありません。

例えば、リチウムイオン電池の製造現場で異常なVOC検出が見られた場合、電解液の漏洩や乾燥工程の不備、封止不良など複数の要因が候補となり、原因の特定に時間を要します。

工場によっては、ライン停止が1時間続くだけで多額の損失につながるケースも少なくありません。

微量な異常ガスにおける
検出精度のばらつき

異常の前兆はわずかなガス成分として現れるケースが多く、現場の温湿度やサンプリング条件のばらつきにより、それが真の異常か測定誤差かの判断に苦慮する場面が見られます。

特に、高い制御が求められる製造現場では、誤判定によるラインの停止や異常の見逃しにともなう不良品流出のリスクが常に存在するため、運用の課題となっています。

リアルタイム監視の難しさと
初動への影響

従来の据え置き型装置は分析に一定の時間を要し、秒単位で事態が進行する現場の異常に対して、即座の対応が難しい側面があります。

例えば、化学プラントで可燃性ガスの濃度が急上昇した際、分析結果が出る頃には状況が進行していたという例も存在。
初動対応が遅れることで、生産ラインの停止だけでなく、工場の設備自体に影響が及ぶリスクが生じます。

現場での一次切り分けの進め方

1. ガス・流路系の異常確認

まずキャリアガスの流量が正常かを確認し、設定流量と実測流量の一致やカラム出口の流れの有無をチェックします。
流路系トラブルにおける代表的な挙動と確認すべき内容は以下の通りです。

主な症状 確認のポイント
ピークが出ない、保持時間のズレ、圧力異常など ボンベの残圧、各部でのリーク(ガス漏れ)有無、セプタムの劣化状態

ここで異常が見つかれば、検出器ではなく前段の流路・供給系に原因があると判断できます。

2. 注入口・カラム系の異常確認

標準試料を注入し、既知のデータ通りの挙動を示すかを確認。
標準試料でも異常が出る場合は装置側、標準試料が正常であればサンプル側に原因があると切り分けられます。

主な症状 確認のポイント
ピークのテーリング、ゴーストピークの出現、再現性の低下 ライナーの汚染状態、Oリングの劣化、カラム先端の汚染や劣化

すべての成分で異常が生じる場合は注入口や流路の不具合、一部の成分のみに異常が見られる場合はカラムの劣化が疑われます。

3. 検出器・電気系の異常確認

検出器単体で信号が正常に出力されているかをチェック。FID・TCD、それぞれの確認ポイントと主な症状は以下です。

FID 点火音の有無、イグナイト電流の確認
TCD フィラメント断線の有無

主な症状は、ノイズ増大、ベースラインドリフト、点火失敗です。
前段の流路や注入口が正常であれば、検出器または電気系統の不具合を疑うのが基本的な判断です。

当日中に発生源の設備を特定した現場判断の成功例

工場の敷地境界で定期的に発生する微量の悪臭について、原因となる物質を自社で特定できず、外部機関への委託で結果が出るまで数週間かかっていました。専用システムの導入後は、複数の悪臭原因物質をその日のうちに社内で分析できる体制が整い、発生源の特定から対策の実施までの期間を大幅に短縮しています。

使用環境別で選ぶ
ガスクロマトグラフ
装置3選を紹介

ガスクロマトグラフの使用シーンは「現場での連続計測」「ラボでの成分特定」「製造ラインへの組み込み」の3つに大きく分かれます。
それぞれ設置条件・必要な精度・運用方法が根本的に異なります。このページでは使用環境ごとに適した装置と選定ポイントを分けて解説します。

現場で状態変化を
連続計測したい
Sylphボールウェーブ
Sylph

引用元:ボールウェーブ公式HP
(https://www.ballwave.jp/products/)

対応ガス・成分 VOC・残留溶媒・香気成分
重量 1.9kg
サイズ 133×88×174mm
こんな現場におすすめ
  • 担当者がガスの発生源に直接持ち込み、状態変化を連続観測したい
  • 現場でガスの時系列データを記録し、変化のタイミングを発見したい
                       
おすすめの理由
  • 水素キャニスタ内蔵で配管工事や外部ボンベが不要。重量1.9kgの小型設計で、ライン脇や設備周辺など設置場所を問わない。
  • 夜間・休日・無人時間帯をまたぐガス変化も、約100時間の連続稼働で記録。スポット測定では捉えにくい変動も見落とさずに把握できる。
ラボで何の成分かを
正確に特定したい
8890 GC システムアジレント・テクノロジー
8890 GC システム

引用元:アジレント・テクノロジー公式HP
(https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1005473)

対応ガス・成分 硫黄化合物・窒素化合物・VOC・残留溶媒・香気成分
重量 公式HPに記載なし
サイズ 580×510×490mm
こんなラボにおすすめ
  • ppbレベルの微量成分を、品質試験・規制基準を満たす精度で分析したい
  • 複雑な混合試料から対象成分だけを正確に特定したい
                       
おすすめの理由
  • 測定目的に合わせた検出器を最大4つ同時に搭載。複雑な試料中でも対象成分だけをppbレベルの濃度で見逃さずに検出できる。
  • 測定中に起きやすい信号のブレを、熱伝導度検出器で抑制。第三者提出が必要なデータを高い再現性で出力する。
製造ライン
異常を自動検知したい
GC8000横河電機
GC8000

引用元:横河電機公式HP
(https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-and-services/measurement/analyzers/gas-analyzers/process-gas-chromatographs/process-gas-chromatograph-gc8000/#詳細)

対応ガス・成分 天然ガス・石油精製・石油化学
重量 約100~200kg
サイズ 公式HPに記載なし
こんな製造ラインにおすすめ
  • ライン停止が許されないラインで稼働中のガスを継続監視したい
  • 有害ガスを扱い、異常の予兆を検知して安全管理を仕組み化したい
                       
おすすめの理由
  • 温度安定性を公表している製品の中で最高水準である±0.03°Cを実現。プラントの長期安定稼働を支える。
  • 分析結果を監視システムにリアルタイムに表示。異常発生時は素早く機器の制御を実行し、品質不良の発生を抑える。

※2025年4月6日時点、Googleで「ガスクロマトグラフ メーカー」検索し公式HPが確認できた18社を対象に、各社最大2製品(複数製品の掲載がない場合は1製品)を調査。
再現性の記載があった製品の中での比較。