化学・石油・ガスなどのプラントでは、原料、中間生成物、製品、燃料ガス、排出ガスの組成を把握するためにガスクロマトグラフが用いられます。分析室で試料を測るラボGCに対し、工程と接続して自動測定する装置がプロセスガスクロマトグラフです。
測定値を運転管理へ利用するには、GC本体だけでなく、採取・前処理・配管・防爆・保守を含むシステムとして設計する必要があります。
原料ガスや溶剤、製品ガスに含まれる主成分と不純物を測定し、受け入れ判定や品質管理に利用します。対象成分と規格値が決まっているルーチン分析では、必要な成分を分離できるカラムと検出器を固定し、同じ条件で繰り返し測定します。
反応器の入口・出口、蒸留塔、分離設備などの組成を定期的に測ると、転化率や分離状態の変化を把握できます。分析結果を分散制御システム(DCS)へ送り、温度、圧力、流量などの運転データと合わせて監視する構成もあります。
燃料ガスの組成は発熱量の算出や燃焼条件の調整に関わります。また、通常とは異なる成分の増加は、触媒劣化、漏れ、混入などを調べる手掛かりになります。ただし、GCの測定周期や配管による遅れを考慮し、緊急遮断用センサーとは役割を分けて設計します。
Sylphのような小型・ポータブル型GCは、現場での即時分析や設置場所を選ばない柔軟性など、従来のラボ設置型GCにはないメリットを多く備えています。一方で導入にあたっては、重量やサイズ、バッテリー駆動の可否など、現場環境に合わせて確認しておきたいポイントも少なくありません。
こうした導入前に押さえておきたい観点を整理しているので、ぜひ参考にしてください。
プロセスGCでは、工程から試料を連続的に取り出し、フィルター、気液分離器、減圧器、流量調整器などで測定可能な状態に整えます。流路切り替えバルブで複数地点を順番に測定し、分析結果を監視システムへ送る構成も可能です。
1回の分析に必要な時間が長いと、工程変化を把握するまでに遅れが生じます。制御へ使う場合は、カラムでの分離時間だけでなく、採取点から装置までの移送時間、流路のパージ、演算・通信までを含めて更新周期を確認します。
長期運転では、標準ガスによる校正、ベースラインや保持時間の監視、フィルター交換、流路の点検が必要です。異常時に測定値を制御へ使わない仕組み、校正中の信号処理、予備流路や交換部品の確保まで決めておきます。
可燃性ガスや蒸気が存在する場所では、設置場所の危険区域区分、対象ガスの分類、温度等級に合う防爆構造が必要です。「防爆対応」という表記だけで判断せず、装置、付属機器、配線、保守作業を含めて適用規格と認証範囲を確認します。
試料配管では、成分の吸着、凝縮、反応、漏れを抑える必要があります。高沸点成分や水分を含む試料では、加熱配管や保温が必要になる場合があります。高圧工程から採取するときは、減圧時の温度低下や相変化も考慮します。
装置仕様に応じて、電源、計装空気、キャリアガス、燃焼ガス、排気、通信回線を用意します。屋外設置では、温湿度、粉じん、塩害、直射日光へ対応する分析計室やシェルターも検討します。停電時の復旧手順とデータ保持方法も確認しておきましょう。
主要メーカーの製品を幅広く比較調査したうえで、選定基準を診断チャートに落とし込みました。いくつかの質問に答えるだけで、自社に合った製品にたどり着けます。
※2025年4月6日時点、Googleで「ガスクロマトグラフ メーカー」検索し公式HPが確認できた18社を対象に、各社最大2製品(複数製品の掲載がない場合は1製品)を調査。
当メディアのメーカー紹介ページに掲載している製品のうち、メーカー公式HPで現行製品として確認でき、プラントの定常監視、現場での高速確認、自動多成分分析に対応する製品を調査しました。設置方式と測定周期が異なる3つの目的に合わせて選定しています。
GC8000は、石油精製、石油化学、天然ガスなどの工程へ常設するプロセスガスクロマトグラフです。複数の恒温槽と検出器を組み合わせ、多流路・多成分を1台で測定するシステムを構成できます。
| 主な用途 | 石油精製、石油化学、天然ガスなどのプロセス分析 |
|---|---|
| 設置 | 工程への常設 |
| 検出器 | TCD、FID、FPDなど(構成による) |
| 試料流路 | 多流路構成に対応 |
| 防爆 | 設置地域・仕様に応じた認証構成を確認 |
| データ連携 | 上位監視・制御システムとの接続に対応 |
Micro GC Fusionは、天然ガス、製油・石油化学、燃料ガスなどの既知成分を短時間で分析するマイクロGCです。可搬型として現場へ持ち込む運用のほか、連続的に試料を導入する構成も検討できます。
| 主な用途 | 天然ガス、燃料ガス、プロセスガスなど |
|---|---|
| 検出器 | マイクロTCD |
| 分析時間 | 1~3分(構成・条件による) |
| モジュール | 最大4モジュール |
| 重量 | 約6.2kg(2モジュール構成) |
| 操作 | タッチディスプレイ、Wi-Fi接続 |
AG-2は、最大3つの検出器と複数系列のカラムを組み込める全自動GCです。恒温槽タイプのサンプリングユニットにより、水分を多く含む試料ガスを凝縮させにくい状態で分析する構成を検討できます。卓上、ケース収納、パネルマウントから形状を選択できます。
| 主な用途 | 無機・有機成分が混在する試料ガスの自動分析 |
|---|---|
| 検出器 | TCD、FID、FPDなど最大3つ |
| カラム | 最大5系列のカラムシステム |
| 湿潤試料 | 恒温槽タイプのサンプリングユニットに対応 |
| データ出力 | CSV形式に対応 |
| 設置形状 | 卓上、ケース収納、パネルマウント |
運転制御へ常時使用するなら、危険場所へ対応し、保守を含むプロセス分析システムを構築できる装置が候補です。設備立ち上げやトラブル調査で複数地点を回るなら、可搬型の短時間分析が適しています。特殊な試料や多成分を自動分析する場合は、サンプリング系を含むカスタム構成を検討します。
分析対象だけでなく、測定値を誰がどの判断に使うかまで決めると、必要な測定周期、通信、防爆、冗長化、保守体制を整理できます。
ガスクロマトグラフは、使用シーンによって適した機器が大きく異なります。
使用する環境が違えば必要な検出器・設置条件・運用方法も変わるため、自社に合った製品を選ぶには「どこで・何を測定したいか」を起点に検討することが大切です。
当メディアは「現場での連続計測」「ラボでの成分特定」「製造ラインへの組み込み」の3つの使用シーン別におすすめメーカー・製品をまとめています。
ガスクロマトグラフの使用シーンは「現場での連続計測」「ラボでの成分特定」「製造ラインへの組み込み」の3つに大きく分かれます。
それぞれ設置条件・必要な精度・運用方法が根本的に異なります。このページでは使用環境ごとに適した装置と選定ポイントを分けて解説します。
引用元:ボールウェーブ公式HP
(https://www.ballwave.jp/products/)
| 対応ガス・成分 | VOC・残留溶媒・香気成分 |
|---|---|
| 重量 | 1.9kg |
| サイズ | 133×88×174mm |
引用元:アジレント・テクノロジー公式HP
(https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1005473)
| 対応ガス・成分 | 硫黄化合物・窒素化合物・VOC・残留溶媒・香気成分 |
|---|---|
| 重量 | 公式HPに記載なし |
| サイズ | 580×510×490mm |
引用元:横河電機公式HP
(https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-and-services/measurement/analyzers/gas-analyzers/process-gas-chromatographs/process-gas-chromatograph-gc8000/#詳細)
| 対応ガス・成分 | 天然ガス・石油精製・石油化学 |
|---|---|
| 重量 | 約100~200kg |
| サイズ | 公式HPに記載なし |
※2026年4月6日時点、Googleで「ガスクロマトグラフ メーカー」検索し公式HPが確認できた18社を対象に、各社最大2製品(複数製品の掲載がない場合は1製品)を調査。
再現性の記載があった製品の中での比較。