据え置き・卓上型ガスクロマトグラフは、分析室や研究室に設置し、試料に含まれる成分の分離・検出を行う装置です。
本ページでは、据え置き型ガスクロマトグラフの基本機能や用途、代表的な製品、導入時に必要な設備について解説します。
据え置き・卓上型ガスクロマトグラフは、空調や電源、キャリアガス供給設備が整った分析室で使用することを前提としています。試料を気化させる注入口、成分を分離するカラム、カラムの温度を管理する恒温槽、分離した成分を測定する検出器などで構成されます。
温度やガス流量を細かく制御できるため、品質管理や研究開発など、同じ条件で繰り返し測定する用途に適しています。ポータブル型と比べて選択できる注入口や検出器が多く、測定対象に合わせて分析条件を組みやすいことも特徴です。
一般的な据え置き型GCでは、有機化合物の分析に用いられるFID、幅広い成分に応答するTCD、ハロゲン化合物に選択性を持つECDなど、複数の検出器から構成を選べます。
液体オートサンプラーやヘッドスペースサンプラー、ガスサンプラーを組み合わせれば、試料導入の自動化も可能です。多数の検体を測定する場合は、分析性能だけでなく、対応するサンプラーや連続測定機能も確認する必要があります。
据え置き型GCの多くは、専用のデータ処理システムと連携します。測定条件の設定からクロマトグラムの確認、成分の定性・定量、分析結果の保存までを一元管理できます。
タッチスクリーンや遠隔監視機能、自動診断機能を備えた製品もあり、装置の状態確認やメンテナンス時期の把握を支援します。複数人で装置を使用する場合は、操作権限やデータ保存方法も導入前に確認しておきたい項目です。
Sylphのような小型・ポータブル型GCは、現場での即時分析や設置場所を選ばない柔軟性など、従来のラボ設置型GCにはないメリットを多く備えています。一方で導入にあたっては、重量やサイズ、バッテリー駆動の可否など、現場環境に合わせて確認しておきたいポイントも少なくありません。
こうした導入前に押さえておきたい観点を整理しているので、ぜひ参考にしてください。
化学、電子材料、自動車、石油関連などの製造業では、原材料の受け入れ検査や製品中の不純物分析、製造トラブルの原因調査にGCが使用されています。
日常的に同じ条件で測定する品質管理では、分析精度だけでなく、オートサンプラーによる連続測定や装置状態の自動監視も重要です。検体数と必要な処理速度を整理し、日々の測定を無理なく続けられる構成を検討します。
食品分野では香気成分、残留溶媒、添加物など、医薬品分野では原料や製品に含まれる残留溶媒、不純物などの分析に利用されます。
測定する成分によって適した検出器や試料導入方法が異なります。公定法や社内試験法に沿って分析する場合は、対象となる分析法へ対応できるカラム、注入口、検出器を選定する必要があります。
環境分析では、大気や水、土壌などに含まれる揮発性有機化合物や悪臭原因物質の測定に使用されています。研究開発では、新素材の評価や反応生成物の確認、未知成分の調査などが主な用途です。
幅広い試料を扱う研究機関や受託分析会社では、複数の検出器へ対応できる拡張性も重要になります。将来予定している分析まで整理したうえで構成を決めると、導入後の用途拡大に対応しやすくなります。
当メディアのメーカー紹介ページに掲載している製品のうち、メーカー公式HPで現行製品として確認でき、分析室・ラボへの据え置き運用に対応する製品を調査しました。その中から、省スペース性、モジュール交換への対応、検出器構成の拡張性という異なる導入目的に合わせて3製品を選定しています。
GC7100は、幅495mmの筐体にカラム恒温槽や検出器を収めた小型汎用ガスクロマトグラフです。TCDとFIDの同時搭載に対応し、NPD、FPD、非放射線源式ECDも選択できます。
パックドカラムを標準とし、専用キットを装着することでキャピラリーカラムやワイドボアカラムも使用可能です。設置スペースを抑えながら、測定対象に応じて検出器やカラムを選びたい分析室に適しています。
| 重量 | 約40kg |
|---|---|
| サイズ | 495(W)×430(H)×500(D)mm |
| 起動時間 | 公式HPに記載なし |
| 連続稼働時間 | 公式HPに記載なし |
| キャリアガス | He、N₂、Arなど |
| 検出器 | FID、TCD、NPD、FPD、ECD(EN) |
| カラム交換 | 可能(パックドカラム標準、専用キットでキャピラリーカラムに対応) |
| 自動クリーニング | 公式HPに記載なし |
| キャリアガス供給方式 | 外部ボンベから供給 |
TRACE 1600シリーズは、注入口と検出器をiConnectモジュールとして交換できる据え置き型GCです。注入口と検出器をそれぞれ最大2基搭載でき、測定対象に合わせて構成を変更できます。
モジュールを装置から取り外してメンテナンスできるため、予備モジュールへ交換しながら分析を続ける運用にも対応。TRACE 1610はタッチスクリーンから装置状態や信号、消耗品の使用状況を確認できます。
| 重量 | 公式HPに記載なし |
|---|---|
| サイズ | 440(W)×450(H)×670(D)mm |
| 起動時間 | 公式HPに具体的な記載なし |
| 連続稼働時間 | 公式HPに記載なし |
| キャリアガス | He、N₂、H₂など |
| 検出器 | FID、TCD、ECD、NPD、FPD、PDD |
| カラム交換 | 可能(iConnect Column Lockに対応) |
| 自動クリーニング | バックフラッシュ機能あり |
| キャリアガス供給方式 | 外部のガス供給設備から供給 |
8890 GCシステムは、注入口を最大2基、検出器を最大4基まで同時に搭載できる据え置き型GCです。FIDやTCDに加え、ECD、NPD、FPD、硫黄・窒素化合物向けの検出器などを選択できます。
タッチスクリーンとブラウザインターフェースを備え、装置状態の確認や診断、リークチェック、メソッドの管理に対応。複雑な試料を扱う研究開発や、多数の分析条件を運用する品質管理部門などで検討できるモデルです。
| 重量 | 約49kg(代表的な構成) |
|---|---|
| サイズ | 580(W)×490(H)×510(D)mm ※構成により幅が異なる場合あり |
| 起動時間 | 公式HPに記載なし |
| 連続稼働時間 | 公式HPに記載なし |
| キャリアガス | He、H₂、N₂、Ar/CH₄など |
| 検出器 | FID、TCD、ECD、NPD、FPD、SCD、NCDなど |
| カラム交換 | 可能 |
| 自動クリーニング | バックフラッシュ機能あり |
| キャリアガス供給方式 | 外部のガス供給設備から供給 |
設置場所を決める際は、本体寸法だけでなく、オートサンプラーやPC、ガス配管、排気設備を含めて必要なスペースを確認します。カラムや注入口、検出器の交換作業ができるように、本体の上部や背面にも余裕が必要です。
装置の重量に耐えられる水平で安定した実験台を用意し、振動や直射日光、急激な温度変化の影響を受けにくい場所へ設置します。必要な離隔距離や実験台の耐荷重は、導入する製品と構成によって異なるため、メーカーの設置要領を確認してください。
据え置き型GCは、製品によって必要な電圧や電源容量が異なります。オートサンプラーやデータ処理用PCなども含め、使用する機器の合計電力を確認したうえで電源を準備します。
キャリアガスにはヘリウム、水素、窒素などが用いられ、検出器によっては空気やメークアップガスも必要です。ガスの種類、純度、必要圧力、配管材、減圧器の仕様を事前に確認します。ボンベを使用する場合は、転倒防止や残量管理、交換スペースも考慮しなければなりません。
試料や使用する検出器によっては、装置から排出されるガスを安全に処理するための排気設備が必要です。水素など可燃性ガスを使用する場合は、メーカーの設置基準や施設内の安全管理ルールに沿って、換気や漏えい対策を検討します。
室温や湿度が分析結果へ影響する可能性もあるため、装置の使用環境条件を満たせる空調設備が必要です。導入前には、本体だけでなく、電源、ガス、排気、空調、ネットワークまで含めた設置条件をメーカーへ確認しましょう。
据え置き・卓上型とポータブル型では、必要な設備と得意とする測定方法が異なります。装置の大きさだけで判断せず、どこで・何を・どのように測定するかを整理して選ぶことが大切です。
| 比較項目 | 据え置き・卓上型 | 小型・ポータブル型 |
|---|---|---|
| 主な使用場所 | 分析室、研究室、品質管理室 | 工場、屋外、建設現場、調査地点 |
| 測定方法 | 採取した試料を分析室へ持ち込んで測定 | 装置を測定地点へ持ち込んで測定 |
| 主な目的 | 成分の定性・定量、品質管理、研究開発 | 現場での一次調査、状態変化の確認、原因の絞り込み |
| 検出器・構成 | 測定対象に合わせて複数の選択肢から構成しやすい | 装置ごとに対応する成分や検出器が限られる場合がある |
| 必要な設備 | 電源、キャリアガス配管、排気、空調など | バッテリーや内蔵ガス源に対応する製品もある |
| 持ち運び | 原則として設置後は移動させずに使用 | 測定場所に合わせて移動可能 |
分析室で多様な試料を継続的に測定し、測定条件や検出器を使い分けたい場合は、据え置き・卓上型が候補になります。一方、試料の移送が難しい場合や、ガスが発生している場所で変化を確認したい場合は、小型・ポータブル型が適しています。
なお、製造ラインへ装置を組み込み、工程中のガスを常時監視する場合は、分析室用の据え置き型ではなく、プロセスガスクロマトグラフを検討します。使用場所を最初に決めることで、必要な設備や装置構成を絞り込みやすくなります。
主要メーカーの製品を幅広く比較調査したうえで、選定基準を診断チャートに落とし込みました。いくつかの質問に答えるだけで、自社に合った製品にたどり着けます。
※2025年4月6日時点、Googleで「ガスクロマトグラフ メーカー」検索し公式HPが確認できた18社を対象に、各社最大2製品(複数製品の掲載がない場合は1製品)を調査。
ガスクロマトグラフは、使用シーンによって適した機器が大きく異なります。
使用する環境が違えば必要な検出器・設置条件・運用方法も変わるため、自社に合った製品を選ぶには「どこで・何を測定したいか」を起点に検討することが大切です。
当メディアは「現場での連続計測」「ラボでの成分特定」「製造ラインへの組み込み」の3つの使用シーン別におすすめメーカー・製品をまとめています。
ガスクロマトグラフの使用シーンは「現場での連続計測」「ラボでの成分特定」「製造ラインへの組み込み」の3つに大きく分かれます。
それぞれ設置条件・必要な精度・運用方法が根本的に異なります。このページでは使用環境ごとに適した装置と選定ポイントを分けて解説します。
引用元:ボールウェーブ公式HP
(https://www.ballwave.jp/products/)
| 対応ガス・成分 | VOC・残留溶媒・香気成分 |
|---|---|
| 重量 | 1.9kg |
| サイズ | 133×88×174mm |
引用元:アジレント・テクノロジー公式HP
(https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1005473)
| 対応ガス・成分 | 硫黄化合物・窒素化合物・VOC・残留溶媒・香気成分 |
|---|---|
| 重量 | 公式HPに記載なし |
| サイズ | 580×510×490mm |
引用元:横河電機公式HP
(https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-and-services/measurement/analyzers/gas-analyzers/process-gas-chromatographs/process-gas-chromatograph-gc8000/#詳細)
| 対応ガス・成分 | 天然ガス・石油精製・石油化学 |
|---|---|
| 重量 | 約100~200kg |
| サイズ | 公式HPに記載なし |
※2026年4月6日時点、Googleで「ガスクロマトグラフ メーカー」検索し公式HPが確認できた18社を対象に、各社最大2製品(複数製品の掲載がない場合は1製品)を調査。
再現性の記載があった製品の中での比較。